アクティブラーニングとは

アクティブラーニングって?

アクティブラーニングの定義や効果を確認しながら、取り組まれている今を知り、今、やらなければならないことを整理したいと思います。

 

そもそも・・・・

アクティブラーニングとは?

「講義型の受動的な学習ではない、主体的・対話的で深い学びのできる新しいタイプの学び方」

 

一方向的な知識伝達的講義を聴くという受動的学習を乗り越える意味での、あらゆる能動的な学習のこと。能動的学習の中には、書く・話す・発表するなどの活動への関与と、そこで生じる認知プロセスの外化を伴う。
溝上慎一著「アクティブラーニングと教授学習パラダイムの転換」東信堂より

 

一言では、こんなところでしょうか。うーん・・。

文部科学省では、

○教員による一方的な講義形式とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称
文部科学省・中央教育審議会「新たな未来を築くための大学教育の質的転換にむけて?生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ(答申)平成24年8月28日

 

○課題の発見と解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習
文部科学省・中央教育審議会「初等中等教育における教育課程の基準など在り方について(諮問)平成26年11月20日

 

○「学び」の本質として重要となる「主体的・対話的で深い学び」の実現を目指した「アクティブラーニング」の視点
文部科学省・中央教育審議会「次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめについて(報告)」平成28年8月26日

 

文科省もこのように、発表しています。

 

なぜ今注目されているのか?

学習指導要領や大学入試に取り入れられること、キャリア教育としても機能することから、大変注目されているのです。

 

もう少しくわしく。それでは、「制度面」と「機能面」から理由を説明します。

 

<制度面より>

学習指導要領の改訂 があるから。

文部科学省は、学習指導要領を次に改訂する際、初等中等教育(幼稚園・小学校・中学校・高等学校)でのアクティブラーニングの導入を強く進めることを示している。学習指導要領は平成28年度中に改訂される見込み。

 

大学入試の改革 もあるから。

文部科学省は、大学入試の改革をすでに示している。今後センター試験が廃止され、平成32年度からは知識だけでなく、思考力・判断力・表現力も問う「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」を実施することになっている。

 

<機能面より>

キャリア教育としての機能があるから。

アクティブラーニングを通して、子どもが人間形成能力を高めたり、自己理解を深めたりすることができる。それは将来働く時に役に立つスキルであり、キャリア教育として機能すると考えられる。

もっと掘り下げて・・

  • 「なぜアクティブラーニング なのか?」

     

     

  • アクティブラーニング って、誰のためのもの?
  • アクティブティーチングではだめなの?

 

アクティブラーニングは、教師の指導法(ティーチング)を示したものではなく、子ども達の学びを示したものです。

 

つまり、文科省は子ども達にこうあって欲しいと思っています。
子ども達が、「主体的・対話的で深い学び」が起きる授業を受けてほしい!!

 

つまり・・・

 

「主体的な学び」って?

学ぶことに興味関心をもち、自己のキャリア形成の方向性と関係づけながら、見通しをもって粘り強く取り組み、自己の学習活動を振り返って次につなげていくこと

 

「対話的な学び」って?

子ども同士の協働、教職員や地域の人との対話、先哲の考え方を手掛かりに考えることなどを通じ、自己の考えを広げ、深めること

 

「深い学び」って?

「各教科等の特質に応じた見通し・考え方を働かせながら、知識を交互に関連づけてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり、問題を見出したりして解決策を考えたり、思いや考えを基に創造したりすることに向かう」こと

 

 

そこで、現場の先生方の創意工夫に基づいた教え方に期待がかかっている。

 

例えば

 

説明では・・・

・講義のみの授業はやめる。といくか、ほとんどの小学校の先生はやめていると思いますが・・・。

 

・内容を何もかも説明するのではなく、子どもの知的好奇心を刺激するものにする。

 

「やる気に火をつけろ!」

 

・これからはじまる楽しい活動のため、ワクワクドキドキにしよう。
「短い説明だからこその、集中して聞く時間にしろ!」

 

 

演習では

・目標だけを示し、子どもの主体性に任せてみる。

・子どもが先生に頼らないように、先生は黒子のように動きまくる。
・時間を厳守。授業の流れを具体的に示すことで集中力アップ!!

 

 

・子どもから質問されても、簡単には答えない。他の子との話し合いで解決。

 

・うまくできていなくてもOK!その子なりの気づきを褒める。

 

・たくさんの建設的な発言からの練り上げを子どもの発言からやっていく。

 

振り返りでは

・授業の最後は必ず振り返りの時間をつくる。

・授業では、気づきや発見を最優先にする。

 

 

成績では
うーん。考え中・・・ごめんなさい。

 

 

関心意欲態度・・授業に積極的に参加する。忘れ物しない。宿題きちんとやる。
対話による主体的なかかわり、+探求的・体験的な深い学び・・・・かなあ

 

 

教科学習としての機能

思考力を高めるだけでなく、教科学習としてもしっかりと機能する。子どもたちは、各教科の内容を主体的・協働的に学ぶことによって、従来型の授業と比べて子ども同士でおしえあう場面が増えていきます。

 

 

ここでは、小林先生の考えるアクティブラーニングの効果から、僕なりの見解を加えていこうと思います。

 

アクティブラーニングの効果1

「数回の実践で子どもが変わり始める」

 

最初は先生も子どもも戸惑う
大きな見通しをもつ。やったことが成功経験!

あきらめずに試行錯誤する
改善方法を探る。

3回ほどで慣れてくる
活動の見通しがもて、行動の切り替えがスムーズになってくる

子どもの学習意欲と態度がかわりはじめる。
積極的に歩く、話す。学習意欲が高くなり、態度も前向きになっていく

 

<ポイント>

 

すぐに効果がでなくても諦めない
最初のうちはお試し期間。繰り返すうちに理解が進み、効果が実感できるようになってくる。
形式や道具にこだわらない。

 

そうですね。一回だけで劇的に効果が現れるとか、そういうことではなくて、やはり繰り返して行うことで子どもの変化に気がつくと思います。そのためには、以上に紹介するPDCAサイクルを何度も繰り返して、慣れることだと思います。自分のためではなく、子どものために、一生懸命に考えてやるって、最高だと思います。熱い思いだけで、子どもが置き去りのアクティブラーニングにならないように僕自身はすごく、気をつけています。(話し合いの欄参照)
僕が大事にしているのは、なんのためにやっているか?
「授業の主役は子どもだから」
「21世紀に対応できる人材を、より高い質の教育で育てていきたいと本気で思っているから」
でしょうか。


アクティブラーニングの効果2

「物事を主体的に学ぶ力がつく」

 

子どもたちは先生に頼らないで、教科学習を行うことで、物事を主体的に学ぶ力をつけていく。それまで、「黙っていた方が得策」と余計な発言を避けていた子どもも、アクティブラーニング型授業を経験すると、先生や他の子に質問や相談を積極的に行うようになる。先生にとっては、説明しすぎないことや指示しすぎないことが重要。子どもの主体性を意識するようにする。

 

<先生主体の授業では>

 

従来の授業では、先生主体の授業になりがち。先生が学び方を指導して子供はそれに合わせなければならない。子どもが主体的に学ぶ姿勢はそれほど見られない。

 

・質問や相談が少ないこと
先生が一方的に説明する形式の場合、子どもが質問や相談をする機会が少ない。子どもが考えを外に出さない。

 

・先生好みの行動をすること
子供は先生の指示に合わせて行動する。叱られることを嫌がり、先生好みの行動をとろうとする。

 

<アクティブラーニングだと>

 

先生が指示や注意をできる限り控え、子どもが行動するのも待つ。先生が行うのは、目標の提示と、子供に質問して考えを促すこと。子どもが明確に目当てに沿って主体的ぶ力をつけていくと考えられる。

 

つまり・・・・

 

・自分で考える力がつく。

 

先生は説明をコンパクトに終えるようにする。子どもが考えたり調べたりする余地を残すことで、子どもの探究心が育ち、自分で考える力が育っていく。

 

・課題への対応力が上がる。

 

先生が答えを全て教えることをしないため、課題に対応する力が伸びていく。

 

・創造力が鍛えられる。

 

子どもが問題に取り組む中で、図や新しい考えを書いたりして、創造力が膨らむ。他の事の相談で考え方も一層膨らむ。

 

 

先生が説明しすぎない、先生がしゃべりすぎない・・・先生にとっては苦手な人が多いのではないでしょうか。僕もおしゃべり大好きです。「先生は話好き」は今も昔も変わらないような気がします。ここで大事なのは、「子どもの主体性を育てる」ということ。つまり、先生は「待つこと」「質問すること」そうすることで、子どもが考えようとします。子ども丸投げしているわけではありません。しっかり意図的・計画的に考えて行動しているのです。僕は、じっくり子どもから引き出す時間として「待つこと」「質問すること」を大事にしています。どの教科でもやりやすいと実感しています。当たり前ですが、習ってもいないこと(新出漢字や新しい言葉など)待っていても、質問しても、出てこないと思いますよ。学校でルールを教えるときや、安全指導をするとき、全部先生が説明してしまうのではなくて、「なぜこのルールが必要だと思う?」「なぜ薬品を使う実験では保護めがねをしなければいけない?」と常に子どもとの対話からはじめると、そのうち一人で解決できなかったことも、子ども同士の対話で解決できます。ホント、よく考え、新しいことを自分で解決していこうとする気持ち(探究心)や、創造力が育ってきますよ。


 

アクティブラーニングの効果3

 

「友達と協働的に取り組む力が育つ」

 

子どもたちがお互いに相談しあって学びをすることで、協働的に解決するよさに気づくようになる。話し合いながら問いたり、お互いに確認する場面や間違いの指摘の場面を通して、より一層教室内で、「まちがってもよい。その分学べる」という意識が持てる。社会に出て、人よりよい結果を出すことも求められるが、それ以上に人と協力することを求められるため、協働することにより、授業を通じて力が育つ。以上のことが期待されています。

 

どういうことかというと・・・

 

<競争社会だけの学習では>塾にありがち・・・

 

従来の学習では、知識をたくわえて人よりも良い点を取ることが目標となりがち。授業にグループワークがあっても、最終的に自分がよい成績をあげることを目指す。

 

・交流を避けて孤独になりがち
より良い成績を目指すため、他の子どもと交流するより一人で努力する。

 

・常に競争している意識
全ての活動が競争に。グループワークでも、他のメンバーより良い結果を出すことが目標になる。

 

でも、

 

<協働的に学べるようになると>

 

人より良い点を取ることではなく、人を巻き込み、人と協力して課題に取り組むことを重視しているため、結果は全員が満点。競争に意識が向かないで、協働的に学ぶ力が育ってくる。

 

・自己理解が深まる

 

他の子どもと教え合う活動を通じて、自分の得意・不得意がわかってくる。自己理解が深まる。

 

・人間関係を作る力が育つ

 

様々な相手と交流することで学ぶことが多く、有意義であることを実感した子どもたちは、積極的に話しかけ、人間関係をつくっていく力が育つ。

 

・自主的に集まるようになる

 

協働的な学習が身についた子どもたちは、自主的に勉強会を開くようになる。

 

ポイント!!

 

先生は距離を取るようにする。子どもが先生に正しい答えを求めてしまいがちなため、子どもたちだけで解決させるためにも、距離を取ると良い。

 

 

そうですね。アクティブラーニングの効果3でも書きましたが、「授業の主役は子ども」と考えたとき、子どもに質問したり、子どもたちが問題解決したりするときに、学校では自力解決も大事ですが、協働できることも、学校のよさだと思います。協働することによって、苦手な子も参加でき、得意な子は人に説明することでもっと自信をつけることになる。対話によって、主体性がより導かれるといっても過言ではないと思います。「話し合い」のところでも述べていますが、人間が生きていくうえで大切なのは「リスペクト」の気持ちだと思います。教室の中は小社会のようなもので、小社会の集団生活の中で子どもが伸び伸びと学習するには、押さえておきたいひとつだと考えています。人間関係を構築するのが苦手な子どもも、周りが育ち、自分自身も育ってくるとその分心を開きやすくなると思います。だから、僕は全開で心を開いて見本を見せるように心がけています。


アクティブラーニングの効果4

「本当の意味でのキャリア教育になる」

 

かつての社会で求められたこと
人の指示を聞く人

 

現代社会で求めていること
自分で判断し、行動できる人

 

なぜか?

「めざせ!従順!実直真面目なはたらく戦士!!」

 

かつては、企業のリーダーが少数で、多くの人はより正確に指示を聞いて行動できる人が社会で生き残っていけるスタイルでした。例えば、戦後のたくさんの工場がたち、たくさんの企業が軒を連ねた時代。今もその風習は残っているが、工場長、社長といった少数のリーダーが指示を出し、その他大勢の労働者は指示に従って黙々と働いていました。
リーダーは知識を。労働者は忍耐力や従順性をですね。
つまり、講義中心の授業で知識を得ることや、先生の指示に沿って行動することを学べば、それがそのまま職場で活かすことができていた時代だったのです。

 

ところが。

 

「めざせ!プロジェクトリーダー!協力してプロジェクトを成功させろ!」

 

今の現代社会は、技術革新、情報のIT化、はたまたAIの登場により、働き方そのものが変わってきた。社会全体が情報化社会となり、知識はだれでも得られるようになり、社会が求めているのは、知識よりむしろ、思考力や判断力、行動力がより重視されるようになり、だれもが主体的・協働的に働くことができるリーダーになることが求められるようになってきました。プロジェクトを企画、運営するのは小規模グループの方がかえって効率が良く、その中でリーダーやそれを支え合う仲間の協力があって、はじめてプロジェクトが動くことになります。

 

つまり、アクティブラーニング型授業によって、自分で考える力と協力する力を身に付けることが職場で必要となる時代になってきているのです。

 

アクティブラーニングは、教科学習として今、その時間が役にたつ学習としてではなく、将来、社会ではたらく人たちの力にもつながっていくと考えられます。

 

まとめると・・・

 

・はたらく力の基礎が育つということ

 

学校で学んだことを通して、思考力や課題に取り組む力、人間関係をつくる力などが成長し、その結果として身についた総合的な力が、社会で働く上での基礎となる。

 

・リーダーシップが身につくということ

 

現代社会では、自分から動いて周りの人を巻き込み、協力しながら課題に取り組む力がリーダーシップとして育ち、そのまま社会で役に立っていく。

 

その他としての効果としては

 

子どもの集中力をあげようという目的で、アクティブラーニングを実践すると、活気があり、興味を持つようになり、居眠りをする子どもも少なくなると考えられます。
現代版リーダーシップを身につけることを意識させることで、授業全体でキャリア教育の機能を持つようになる。座って説明するだけが今のスタイルではなく、立ち歩くことが将来の働き方につながる話などをすれば、学習と仕事の関連性を学ぶこともできる。子どもたちが将来を見越して、働き方をしっかりイメージして自分に合う仕事を考える経験ができろのではないでしょうか。

 

 

「キャリア教育につながる」激しく同意です(笑)僕が21世紀型の教育がなぜ、必要かが凝縮されているかの答えが、ここに凝縮されていると思います。「めざせ!従順!実直真面目なはたらく戦士!!」や「めざせ!プロジェクトリーダー!協力してプロジェクトを成功させろ!」は、僕が勝手にわかりやすくした言葉です。(小林先生ごめんなさい)
もちろん、人それぞれには個性があり、その個性は誰にも変えることができない宝物だと思っています。

 

「みんなちがってみんないい」(かねこみすず)

 

いい言葉ですね。みんながプロジェクトリーダーにならなくてもいいのです。リーダーの周りにはそれをサポートするブレーンや、技術者、アイデアマンなど、たくさんいます。「誰もが、安心して、豊かに」くらせる社会が僕の求めている姿です。病気の人も、障害をもっている人も、大人も、子どもも、ご老人も・・・もっと言えば、世界中のみんなが!!それぞれの個性を生かしあって、お互い支えあって、リスペクトしあって、最高に明るい社会が来ることを望んでいます。
アクティブラーニングは「主体性、対話的で深い学び」が実現できますが、それよりも社会で生きていく力が育っていくと思います。

 

将来の子どもを育てていくのは、学校の先生です!!保護者です!!社会です!!
みんなで力を合わせてアクティブラーニング!!していきたいです。