今年もあと少し!!がんばっていきましょう!!
アクティブラーニングの全体の流れとポイント(とにかく減らそう)
それでは、レッツ!スタート!!
先生が授業で話しっぱなし。よくある光景であるが、先生が何から何まで説明していては、子どもはそれを聞いているだけで、主体的・協働的な学びには結びついていかない。
講義も大切です。その中で、要点をしぼって講義の時間を減らし、子ども主体の活動の時間を作り出すとよいのではないでしょうか。
そう、まずは授業から減らせるものを、減らしてみましょう。
○アクティブラーニング型授業の流れはざっくりだけど、こんな感じ。
1.説明 5分 静の場面
これからやることを大幅にへらします。やることを板書させたりもしない。プリントを配ればそれでOK。
2.演習 30分 動の場面
問題をグループで協力しながら解いていきます。しゃべっても、立ち歩いてもOK。
分からないことを教えあうことで、理解力を高め、人間関係もつけていきます。
3.振り返り 10分 静の場面
子どもが各々「確認テスト」や「振り返り」を行う場面。学んだことのアウトプットします。
<ポイント>
・先生からの一方的にならないようにする。大切なのは双方向の対話です。
・考えたことを形にしていきます。「認知プロセスの外化」
・形式に決まりはありません。時間配分も内容によって変化をつけます。
・静→動→静 のメリハリをつけることで集中力、理解力倍増!!
○まずできること。最初は1分減らそう!
・従来の授業は講義中心。
先生からの一方的講義のため、アクティブラーニング がおこりにくい。まずは、先生と子どもとの対話から。次に子ども同士の対話へとつなげていきます。
・説明をまずは1分減らしてみる。
短時間で説明、やや言い足りないくらいで子どもの好奇心や、学習意欲を刺激します。
・一方的な講義を減らす。
学習内容の説明は行うが、説明の時間をへらす。説明中は子どもからの質問をうけ、双方向の対話を行う。(答えを教えないような工夫が大事)
・板書もノートも減らす。
ワークシート、モニター、タブレットを最大限に活用する。学習内容の定着のために、振り返りの時間はしっかり確保する。楽しいだけで終わらないようにします。
・減らすのは時間でも回数でも良い。
一斉授業形式の方が良い場合も多々あるので、全てをアクティブラーニング型授業にこだわりすぎないようにします。
なんとなく、流れは以上として、いよいよ本題。
準備ではどのようにすればよいのでしょうか?説明したいと思います。
準備にすること
○準備1 授業内容と問題をまとめておく。(プリント、タブレット)
プリントの内容は授業の再現性があるので、チームで協力してプリントを作成すると効果的。作ったデータは電子化してお
くのが良い。パソコンを使うのが苦手な場合は、手書き資料でOK。子どものアクティブなイメージを最優先して、模擬授業をしているイメージで作成すると良いのではないでしょうか。
・プリントを作る
教科書1回分を、要点として取り出します。より詳しく知りたいと思ったら、教科書を参照できるようにしておくとよいでしょう。。
・時間のムダを省く。
ワークシートでやりたいこと、話し合いたいことを明確にして、ムダを省くようにします。
プリント作りに時間がかかるのは本末転倒ですね。準備は最低でも1時間で終わらせます。もっと効率的に行いたい時は、Evernoteを活用した方法が良いと思います。エバーノートの使い方においては、別記事で紹介したいと思いますね
○準備2 問題集を活用して、準備の手間を減らす。
・演習用の問題を用意する。
授業の内容をまとめるプリントとは別に、演習問題を準備します。その際、問題集を使って手間をへらすと良いと思います。解答用も忘れないように準備します。作問に時間をかけないようにします。自作の問題もアリですが、教科書も問題集も、数値を計算し尽くされた問題であるので、数値は変更しないようにすると良いでしょう。
・話し合いを活性化させることを重視する。
子どもの話し合いをイメージしながら、手間をかけずに問題を作るようにします。毎回の演習で実施することにより、子どもの話し合いを活性化させ、協働的な学ぶ活動が増えると思われます。。
・問題作りのコツ
ステップアップ式で4問くらいにします。「問題を解く。話し合う。」を常にイメージして作るとよいでしょう。
- 第1問:最も簡単な問題で誰でも解けるような問題
- 第2問:簡単ではあるが、ヒント付き。
- 第3問:ヒントなし。
- 第4問:最も難しい問題で誰も一人では解けない問題。
あくまで例であるが、子どもが夢中になって、問題を解き、雑談の時間さえ与えないようにすることが理想ですね。あかねこスキルのつくりが大いに参考になります。B基準のため、難しい問題は設定されていませんが、段階的に問題を解くことができるので、参考にするとよいと思います。
「早く終わったらやてみよう」という問題や、解説の使い方においても優れています。僕は、毎年使うようにしますね。
さて、準備はいかがでしたでしょうか?
いよいよ授業です。
ここまでは、授業の下ごしらえ。ここからが勝負ですね!!
先生の説明の場面です。授業スタートですよ!!
子どもたち、時間通りに座っていますね。授業の準備できていますね。トイレ行っていますね?
はい!チャイムが鳴りました。
「起立!」
「礼!」
「これから○○の学習をはじめます!」
授業の最初!!説明でやること
いよいよ授業に入りました。
最初は、子どもにどのような授業をするのか、めあて、流れ、まとめ方(発表の仕方)など見通しをする場面です。
○説明1 プリントを配り、板書時間をカットする 目標0分。最低1分。
子どもが考える時間を増やすようにします。
・板書やノートを省略。
授業の内容はプリントにまとめ、板書は基本的にはしません。子どもが板書をノートに書き写す作業も省略するようにします。
・子どもが考える時間を増やす。
板書と書き写しでは、子どもが見る作業と書き写す作業に集中してしまい、ややもすれば、書き写せばそれでOKと満足してしまう子どももいます。考える時間、話し合う時間を増やすための工夫をするのです。
・配る時間も省略。
事前にプリントを教卓に置いて、次までに確認しておくようにしてもよいと思います。
ちょっとしたコツ
グループの人数をナンバリングします。先生がグループのところにプリントを配った方が早い場合もありますが、僕はこの方法をよく使いますね。
「○番の人、このプリントお願い」
「○番の人、○○の片付けお願い」
と、グループで自主的に役割分担できない場合はやってみる価値あると思います。
準備、後片付けを特定の人に押し付けがちになるのが普通のことであるので、子ども任せで役割分担は気をつけてください。
・プリントの内容を映す
大型液晶テレビでも、プロジェクターでも、模造紙でもよいが、子どもと同じものを映すようにします。先生は板書しないで、必要なところはマーカーで印をつけながら話をすることができるし、子どもは手元のプリントと見比べながら、集中して話を聞くことができます。
??参考までに:iPad Proを効果的に活用するとやりやすい。アプリとの併用。隙間の時間で準備。必要な時にアウトプット。僕がやっていることですが、ここでは説明を省略。すごく効率的なのでまた紹介したいと思います。
○説明2 目標が最初。手短に説明する。 目標4分 最低5分
アクティブラーニング型授業でどのような態度が必要であるか具体的に伝えます。
「しゃべったり、立ち歩いたり、友達と協力してください」
・説明を5分で終わらせる。
授業の「態度目標」「内容目標」を示します。
「態度目標」は、子どもに、「しゃべる」「質問すると」「説明する」「動く」「チームで協力する」「チームに貢献する」ことを求めます。
「内容目標」は、その時間にやるべき学習課題を学習問題として伝えるようにします。イメージしやすいようにしないと、ここでつまづき、前に進めない可能性あります。
・集中して聞く
説明を手短に済ませる方が、子どもが集中して聞くことができます。
・説明を短くするには、あらかじめの下準備が必要ですね。
ちょっとした一手間
説明をその場で一瞬で行うことができるのは、超ベテランか、超話し上手な人。事前にリハーサルをしておくとよいと思います。プロのプレゼンテーションを見て学ぶのもよいでしょう。
TEDは世界最高レベルのプレゼンであるので、参考にすると良いと思います。僕は、英語の勉強もかねて、よく見るようにします。 話すタイミング、盛り上げ方、目線や、ジェスチャー、話の盛り上げる場面、話し方の構成・・・・すべて超洗練されています。僕も、あんな舞台で発表したいなあ。
○説明3 5分間のの説明に2?3回の「ワーク」をいれます。
イメージとして、自力解決に入るまでの簡単な共同作業でしょうか。
「このテーマで知っていること、グループで1分話し合ってごらん」
・子どもに時々質問する
説明しっぱなしではなく、途中で子どもに質問して、話し合いを促すようにすると良いと思います。
・やりとりを対話の双方向にする
説明中も協働OK。目標理解だけでなく、説明に対する集中力さえも高まると思います。
・話の内容は評価しないようにする
「どんな話し合いだったか」聞くが、中身は評価しません。協力できたこと、意見が出たことを評価して、演習にいかせるように導くようにします。
問題解決においては、演習に入る前の大切な時間。場合によっては時間をしっかり確保して、演習に入ることができるようにすると良いと思います。
?説明を減らすのは怠慢?
学びを促すための工夫の一つと考えます。説明を減らしても子ども達の活動は結果的に増え、子どもが集中して話を聞いて内容理解する力や、子ども同士の学びの場が確保されます。説明が減らされているため、子どもが聞いていないことを理解しようとして調べようとします。
社会では一から十まで説明してもらうことはめったにありません。分からないことを聞いたり、調べたりする力が必要となります。
つまり、意図的・計画的に説明を減らしているのです。
?教科によって向き・不向きがある?
全ての教科で実践できます。あきらめずに創意工夫する事が大事だと思います。
創意工夫の例
・子ども同士の調べ学習の成果の発表
・子ども同士で学習内容の要約を説明し合う。
・学習内容の図式化(思考ツールの活用)
?反転授業もアクティブラーニング?
学校での学びと家庭での学びを反転したものですね。個人での学びと、社会性の中で学校でしか学ぶことができないことをやってみてもよいと思います。
つまり、自主性が育つと、自分から家庭学習の質が変わってきます。僕は、「一人で」「みんなで」を合言葉に小学校3年生のときから大事に教え、実行できるようにやってきました。あくなき探究心は興味をもって継続して学習に集中させることが可能です。また、授業中の協働は、対話的で深い学びが実現可能です。ただ、ここで大事なのは、教師のしかけ。教師のもっていきかた。子どもが勝手に火がついてくれれば楽なのですが、子どものやる気に火をつけるのも、先生としてものすごく大事なことだと思います。
僕の経験も、このサイトの中で、小出しに出して生きたいと思います。
さて、ここまで、「説明」の場面でした。
より効率的に、時間をかけないで、行うこと。そうすることで、子どもが見通しをバッチリつかみ、短いから集中することもできます。次の演習が楽しみだからこそ、説明は短いほうがいいのです。結果的に説明を短くすることは、子どもに思考力判断力表現力を伸ばすために、必要なことなのですね。
それでは、ここからが子どもの学びの場です。考える場面、交流する場面。教室だからこそ味わうことのできる醍醐味です。
では、いっちゃってください!!
「演習」を増やして、目いっぱい考える場所。動く場所。
さあ。いよいよ演習です。
子どもたち、さっと取り組んでいますか?モタモタしていませんか?
では、「演習」について説明します。
説明する時間を減らすことができたら、演習の時間が自然に増えることになります。
問題を出し、グループで取り組むようにしていきます。
取り組み方をできる限り具体的に伝えること、時々、質問して動きを促すとよいでしょう。
「演習を増やす」=「子どもの主体的・協働的な動きを作り出す」
と考えた時、先生としてどのような働きかけをしたらよいのか、常に考えておくと良いでしょう。
○演習の基本の「き」
目標や時間を設定すれば、授業は乱れません
・全ての教科で演習を取り入れる
演習形式の教科や時間帯だけでなく、全ての授業、全ての教科で演習を取り入れ、アクティブラーニングが起こるようにします。
特に国語や算数など基礎的な教科こそ変えていくチャンス!
・自由度は高まるが、授業規律も同時に高まる。
グループでの演習を取り入れると、授業の自由度が上がり、子どもが主体的・協働的に活動しやすくなります。子ども任せの部分が増えても、ルールをしっかり示すことが大切です。演習の前、演習中と、子どもたちが自然にルールを意識することができるように育てていくと、メリハリの効いた授業展開が期待できると思います。
・演習の一定のルール
積極的に話す・協力する・時間を守る
例)「内容目標」授業の最初に伝えるその日のめあて
「態度目標」実習中の話す・聞く・立ち歩く・協力する
「見通し目標」各作業をどれくらい演習すれば良いか、そして、時間を守る
どの教科でも、いつでもできるようにすることで、クラス経営をアクティブラーニング から仕上げていくことも十分可能です。
ここでは、先生は質問されても、安易に答えないで、子どもが自分で考えることができるようにガイド・支援をするようにすると良と思います。
では、実際の演習での進め方について順に説明します。
繰り返すようですが、ここは「動」の場です。
○演習1 子どもたちのグループ化。演習のスタート。
・演習はグループワークに
子どもが自由に話をすることができるように、机を向かい合わせにしたり、椅子だけで輪になったりと、授業において工夫します。経験上、机が前にあった方が集中して取り組むことが多いですね。フリートークでは、逆に机がない方が壁がなくて話しやすいと思います。
・協働的な学びを喚起する
グループワークによって、主体的な活動に協働的な学びが追加すると考えるとよいと思います。すぐに話し合う、プリントを読み込む、メモを取るなど、それぞれの子どもが得意なスタイルを生かしながら、協力するようにします。
・グループは指定しない方法
子どもの主体性を最大限に生かすなら、グループを固定しないとよいです。グループの座席も人数も固定しません。主体的に人間関係を作れるようになっていくことができます。
・グループをくじ引きにする方法
どの演習もくじ引きで行います。こうすることで、どのメンバーとも協力しようとする態度は身についていきます。グループの固定化(いつも同じメンバー)を避ける上でも有効だと考えます。
グループ活動が苦手な子は一人でもOK。先生のフォローも忘れないようにします。
最初のうちは、グループは先生が決めます。次にくじ引き、子どもとの信頼関係がある程度築けてきたら、フリーグループ。と段階を踏んでいくのが常套手段だと思いますね。
休み時間のうちに、グループ体系に机を並べておくと時間短縮もできるので、やっておくとよいでしょう。
○演習2 しゃべること・立ち歩きOK!!
導入の例として・・・・
科学者のイメージって何?
子どもたち
白衣着て、実験して、新しいこと発見して・・・
科学者の生活って何?
子どもたち
分からないことを調べる・他の科学者と協力しあう・意見を言い合う・実験を繰り返す
科学者だって、一つのものを発見するときに、しっかり調べ、話し合い・・・と常にイメージすることで、アクティブラーニングすることによって、「協力すること」「自分の考えを伝えること」「繰り返すこと」「よく考えること」、実は、クラスの子どもたちと同じだってこと、理解すると、案外あっさり納得して、やる気も倍増します。
・主体的な学びを引き出す
話す、立ち歩くことは、子どもの動きを促し、主体的な学びを引き出すため。そのうち、近くの人に聞いても分からない時は、詳しい人に質問するようになっていきます。
・時間の見通しをもたせる
話し合いの時間と、終わりの時間を明確に示すことで、子ども達は見通しをもってはなすようになります。黒板に大きなタイマー(電子黒板に映しても良い)があると、あとどれくらいで終了なのか視覚的にわかりやすくて良いですね。「先生あと何時?」と言わせないように、子どもが時間を見て行動できるようになるとよいと思います。
・話し合いにも工夫を
話すことが苦手で、全く話せない時、フセンを配って意見を書き出すのもよいです。ワークショップ型と呼ばれ、考えが視覚化できるので、効果的な手法です。
??別リンク参照
フセンを使った授業例:
1個人の意見を付箋にかきだす
2内容を見せながら、模造紙に貼っていく。
3内容を整理しながら模造紙に要約をかきだす。
4発表者を決めて発表の練習
なんども繰り返すと、役割分担も素早くなり、一定時間で効果的な話し合いができるようになる。自分本位でなく、相手の意見も尊重し合いながらできるようになっていきます。
話し上手は聞き上手。ファシリテーターが育ちますので、これまた有効な手段です。
??保護者様へ 懇談会でこんな一言を!!
「立ち歩きは仕事の将来につながる」
しゃべること、立ち歩くことに慣れてしまったら、じっとしていられない子になると思うかもしれません。しかし、子ども達は退屈で好き勝手に立ち歩いているわけではありません。協力が必要だと感じた時、自分からしゃべったり立ち歩いたりして、人と関わっています。それは、将来、職場で人と協力するときにも役立つスキルになります。
また、アクティブラーニング型授業の時の形式であって、一斉授業や、個人演習のときに、勝手に立ち歩いて勝手に話をしているわけではありません。臨機応変、ルールを守って活動することを学んでいるところです。ご家庭でも、積極的に立ち歩いたり、話したりしながら、家族のコミュニケーションを深めながら食事のお手伝いやお仕事を頑張れると良いですね。
時間を守って、メリハリをつけること。ルールもしっかり守った上での、立ち歩きであること、ご理解のうえ、ご協力とご支援よろしくお願いします。
○演習3 グループで相談・協力できているか?
ここでも、基本先生は話しません。教壇から降りて、机間巡視しながら、グループごとの話し合いを円滑にするように、質問しながら協力・自主性のガイドをしていきます。
・止まっていたら質問する
子どもの動きが止まっていたら、態度目標が守れているか質問します。
・態度目標に気づかせる
質問するのは、授業の始めで示した態度目標に気づかせるため。気づくことで子どもは動き出せるようになります。
・質問だけで働きかける
うまく相談・協力できていないグループがあったら質問します。説明や指示は一方的になりがちであるので、質問だけで働きかけると良いでしょう。また、個々に活動しているグループには態度目標について質問すると良いと思います。
「友達に質問できていますか?」
「話せてる?動いている?」
ちょっとしたコツ
「対話は話し合いから」でも述べていますが、やっぱり「リスペクトの気持ち」ではないでしょうか。
・批判、禁止、命令をさける
「話しなさい」「そのやり方はやめなさい」「言う通りにやりなさい」と話しかけると、子どもは活動を否定されたと考え、意欲を失ってしまいます。子ども同士にも言えることなので、日常からしっかり教えていきたいところですね。
パスOK!の気持ちも大切です。
・間違えてもすぐに直さない
話し合いはできていても、内容が間違っていることがあります。そのときは、すぐに直さないで、しばらく様子をみます。子ども同士で解決し始めることが多いので、大いに褒めるようにします。
・放任型、干渉型?
子ども任せにして放任型で対応していると、いずれは授業が乱れ、強く注意することになり、子どもを押さえ込んでしまうことになります。反対に、終始褒めたり注意ばかりしていると、子どもは先生の反応を常に伺うようになります。どちらも子どもの主体性が弱くなるだけであるので、質問を主体としながら、放任・干渉を適度に使い分けながら進めていくと良いでしょう。
○演習4 子どもに質問されたら、質問で返す。
従来の授業では、子どもは分からないことは先生につい聞いてしまい、先生もつい質問に答えを答える習慣がついています。
質問を答えることで、他の子も質問します。そこで先生はそれに答える。
それでは、子ども同士の協働がおこらなくなってしまいますね。
質問には質問を!で対抗しましょう
・質問には質問で返す
子どもから授業の内容や演習の態度について質問されたら、答えを教えずに質問で返します。
・自分で考えていることを促す
すぐに答えず、質問して子どもに考えさせることで、子どもが答えにたどり着くようにします。
何を考えているかたずねる
何か質問されたら、テーマについてどのように考えているか質問します。質問によって子どもの考えや気づきを促すようにします。その場に残っていると、解決するまで考えようとするので、その場を立ち去るとよいでしょう。すると、子どもは先生の質問をヒントに考えはじめます。個に応じて、内容理解や話し合うコツなどをアドバイスしながら、話し合いをガイドするようになります。
「どうすれば良いと思う?」
「何をする?次に何をしたらいい?」
「目標にヒントはない?」
??アクティブな学びをうながす3つの質問??
責めるように、急かすように、厳しい口調で話しても逆効果ですね。穏やかに笑顔で、効果を見ながら調整していくことで、子どものアクティブな学びも増す。
「チームで協力できていますか?」
子どもに態度目標の確認をうながす質問。子ども自身に気づかせる上に有効。「どんなふうに協力できていますか?」とより具体的に聞いてもよいですね。
「あと◯分だけど、順調ですか?」
作業の進行状況を確認するための質問。時間の見通しを意識させることによって、子どももより集中して取り組むようになります。
「〇〇さんはどう思いますか?」
子どもから質問を受けたときに、その問いをそのまま他の子に投げかけます。そうすることで。、子ども同士の対話のきっかけを作り、協働的な学びをうながすことにつながります。
○演習5 時間の見通しを伝え、しっかり守る。
時間の見通しをもって行動することは、アクティブラーニングに限らず大切なことです。最初のうちは、掲示だけでなく、口
頭でも伝えるようにします。言われて行動から、自分から自然に行動する習慣が身につくとOK!!
・予告通りに進める
授業をはじめるときに、演習の時間、確認の時間を予告する。その通りに淡々と進めていきます。
・パフォーマンスを向上
時間を厳守すること。そのために子ども達は時間内に作業を終わらせようとし、結果としてパフォーマンスも向上します。
・淡々と進める
時間厳守といっても、急かすわけではなく、淡々と進めていきます。何度も同じ経験を繰り返すことにより、時間を守ることが当たり前になっていきます。
・「早く」とせかさない
急かすことによって、子どものパフォーマンスも落ちてしまいます。無理に合わせようとしなくても良いですね。
・「もう少し時間が欲しい!!」
締め切りを伝えた上で、予定通りの作業をはじめます。メリハリのある展開を心がけるとよいと思います。
・子どもの意見も取り入れる
原則的には、時間を守って行動した方が良いでしょうけど、子どもがいつも作業に追われて苦しんでいる状況であるなら、計画に無理があることもある。問題数が多く、話し合いの時間が短くなって、目標を達成できないこともあり得ます。柔軟に対応して、どの授業もPDSサイクルをするようにします。
ノリに乗りまくっているときは、授業を延長して、さらなるベストパフォーマンスを引き出してもOK!!ですね。
○演習6 うまくいかないとき、中断してもOK
うまくいかないとき、そのまま進めても何一つうまくいかない場合があります。そのときは、すぱっと中断しましょう。その
ときは、子どもにもはっきりと中断することを宣言して、混乱を避けるようにすると良です。
・中断してやり方を見直す
計画通りに進まないときは、アクティブラーニング型授業を中断する決意も必要です。従来型に切り替えてください。
・子どもに無理強いしない
うまくいっていないときに、進めることは子どもに無理強いをすることになります。
・子どものせいにしない
中断を子どものせいにしないようにします。中断するのは、先生がうまく授業を勧められなかったからですね。しっかり子どもに伝えられるとよいです。子どものせいにすると、子どもが先生の顔色を伺うようになっていくことと、信頼関係が崩れる要因を作ってしまいます。
・あらかじめ用意しておいたプリントを配る
従来の体型に戻すのも良いが、授業の内容の流れに沿ったプリントを配るのも良いでしょう。考えの流れに沿っているなら、より子どもも安心してプリントに取り組むことができます。
?私語・離席は行儀が悪い?
私語や離席を許しても、同時にその目的を伝えれば、子どもたちの行動は乱れません。私語といっても、授業の内容に対する質問や相談であるので、ふざけて行儀が悪くなっているのではありません。
?できない子にはどう対応する?
集団行動が苦手な子は、最初はある程度先生がサポートします。
そのうちに人間関係が出来上がり、グループに入ることができるようになっていきます。
最初は先生が、できてきたら、子どもたちが自然にフォローするようになります。クラスで主体的、協働的な活動ができているときは、見守る勇気も必要です。
?子どもが発達障害がある場合には?
自閉症や、ADHDといった発達障害があり、集団行動をとくに苦手としている子どもの場合には、個別のサポートが必要です。
特に、子どもの自由度が大きいアクティブラーニングは、「子どもが楽しみながらも、ルールを守って」が大前提。全部OK!で通すと、学級崩壊を起こしかねないですよ。
?安心・安全な場を作っていくには?
学習における「コンフォートゾーン」
誰でも、不安が強い時は、発言や行動を控えるようにします。何をしても否定されると思ったら、何もできなくなります。なんでも聞いてもらえる環境作りが発言しやすくなります。日頃から子どもの発言を否定しないことことも大切です。また、普段の子どもたちの関わり方、接し方も重要。日頃の経験がそのまま授業に表れます。
パニックゾーン
「パニック」不安。不安だからこそ多くを学べます。考えに否定的な場合もあるので、危険性もありますよ。
ストレッチゾーン
「ストレッチ」広がり。安心できるところまであと少しのところ。すぐに届きそう。でも、一歩間違えば、パニックゾーンに。真っ逆さまです。
コンフォートゾーン
「コンフォート」安心。いつでも戻ってくることのできる安心・安全なスペース。落ち着いた授業態度で、ルールを外すことなく、笑いあり、ドキドキあり、学びあり、で目的がはっきりして継続すれば、どの場面でも対応できる子どもが育っていきます。
クラスが常にコンフォートゾーンほど、アクティブラーニングしやすい環境はありません。日頃からの学級経営がとっても大事ですね。
さて、ここまでいかがでしたでしょうか。
「誰もが、安心して、豊かに」
僕が好きな言葉ですが、子どもが常に「コンフォートゾーン」に入っていてほしいものです。
子どもが楽しく学び、考える力、主体性、対話力をばっちりみにつけ、自分の力で自立した姿って素敵なものですね。
さて、ここで終わりにしないでくださいね。
アクティブラーニングには「アウトプット」が大切!!
今から、一気に静かになる「静」の場です。
最後の「振り返り」で理解を深めていく
演習が終わったら、次に「簡単な確認」。テストの形式や、会話による振り返り、文字による振り返りがあると思います。学んだことのアウトプットの場。子どもたちは一連の流れや活動を振り返ることで、授業内容の理解を深め、次回の課題に気づくようになります。やってみて、楽しかったこと、学んでわかったことを記録(アウトプット)することで、より深い学びへと高めることができます。
◯振り返りの基本の「き」
ラスト10分は授業をしっかり振り返る時間にします。
・先生ではなく、子どもがまとめるようにします。
従来の授業では、多くの場合、先生が時間いっぱい話し続け、最後にその日の内容をまとめて終わりにしていました。アクティブラーニングでは、先生では子どもが自分で考えをまとめるようにします。
1. テストで確認
2. 相互採点
3. リフレクションカード(気づきを書く)
一連の流れで、子どもはその日に学んだことをより深く理解するようになることでしょう。
問題を減らしてでも振り返りの時間を作るようにするとよい
振り返る時間を作ることで、子どもが気づき、次回以降の目標につなげることができます。振り返りの日々の作業が、学習の質を向上させます。
○振り返り1 学んだことの確認テスト
・最後に一人で問題を解く
演習でも使った問題を、もう一度出します。今度は子どもたちがそれぞれで取り組み、教室は静かになります。時間がきたら、確認テストをスタート。テストといっても同じ問題なので、子どもはあわてないで自信をもって取り組むことができます。
・思考力と理解力が上がる
子どもは問題二何度も取り組み、答えを書き出すことで、論理的な思考力が磨かれます。また、同じ問題でも、一人で図や式、計算などをあらためて書き出してみることで、考えが整理され、理解度も増すことでしょう。当然自信も、満足度も付加されます。
?答えを教えるのっていいこと?
なぜその答えになるのか推論し、自分自身でその過程を書き出すことで思考力が磨かれます。また、正解がわかるからこそ落ち着いて取り組むことができます。ただ何も考えないで写すだけでは全く意味がないことでありますが、答えを教えるには意味があって、意味を理解してからこそ使えるものになります。
○振り返り2 採点や交流は子ども同士で。
自分の考えや理解度を自己開示することは、学習する上で大切なことです。そのためには、結果も大事であるが、その過程はもっと大事。自分の考えをもって取り組んでいることをクラス全体で認め合い、安心した和やかな雰囲気になります。
・テストを相互に採点する
子ども達に確認テストを相互採点させます。正解だけでなく、途中までできていても満点となります。間違っていても満点です。採点相手は決めなくても良いですが、お互い採点しあってもよいのではないでしょうか。。この作業も、主体的・協働的に行います。
・全員で満足感を味わう
テストをその日にすぐに採点し、満点にすることで子どもたち全員に自信を持たせることができます。その教科が嫌いになるどころか好きになっていきでしょう。
花マルをつけてさらに満足にさせてもいいですね。他の子を採点するときに、花マルをつけながら、その一方で相手を認める機会にもなってきます。お互いが達成感を味わうことができます。
正解を書くことも大事ですが、それ以上に大切なのは、問題を解く過程。途中までだろうが、間違ってだろうが、自分の考えをかけていることを評価します。自分の苦手な分野や、どこまではわかっているのだけど、ここからは苦手。とピンポイントで保護者面談などで指摘できます。家庭学習で復習すると、さらに効果倍増するので、僕は、「見つけ勉強」という宿題で自主的に毎日行うように声をかけ、やってきた子をほめるようにします。
「見つけ勉強」については、別記事で詳しく書きます。
○振り返り3 カードに自分の考えを書き出す。
リフレクションとは「反射」のこと。子どもが鏡を見るように自分の内面に目を向け、自分自身の考えや学習、実践に気付くようにします。
・リフレクションカードを使う
確認テストとは別に「リフレクションカード」を用意します。カードには授業の感想などを書き出すようにします。
・学んだこと・出来たことに気付く
授業にないしてどのようにのぞみ、何を学んだか、子ども自身に考えさせるようにします。子どもはその日の成果に気付くようになるでしょう。
?どんなリフレクションカードにしたらよいか?
具体的な例を示します。
質問内容 例)
1 態度目標に沿って活動できたか。気づいたこと、今後やってみたいと考えたことは何か
2 授業でわかったこと、分からなかったこと、もっと知りたいことは何か
3 授業についての気づき、もっとよくするために考えていること、先生へリクエスト など
・評価しないようにする
子どもは、授業そのものを評価しようとすると、本音を書かなくなるので、自分自身の成長を書くようにします。
先生は、内容を評価するのではなく、どのような気づきでも、その子自身の成長につながります。気づいたことを評価するようにするとよいと思います。
記名式でお互いに見合うとさらに良いことが・・・
一定時間内にここまで行うのは難しいと考えられるが、リフレクションカードを記名式にして見合うことで、友だちの気づきから学ぶことも多く、同じ気づきからだと安心感、違う気づきからは新しい発見、さらに考えが深まり、アクティブラーニングがより深い理解になっていきます。記名式で安心・安全に自己開示する機会を増やして、素直な子も育ちます。僕もよくやっています!!
○振り返り4 目標を達成できたか、尋ねるようにする。
振り返りをより具体的にできるようにするには、繰り返しが必要。アクティブラーニング一連の活動の繰り返しが力になっていきます。次の行動を支持しないで子ども自身が気づいて次の計画を立てられるようにすることも重要です。最初は難しいが、自分で気付くのをじっくり待ちましょう。
・振り返るためのヒントを出す
子どもが書くのに苦労していたら、「自分の考えを話すことできた?」「どんなふうに」などと質問して、振り返りのヒントを出します。
・気づきをより具体的にする
質問によって、子どもがより深く考えることができるようにします。振り返ることで、より具体的な気づきを得るようになります。
振り返りは繰り返すうちに上達していきます。
振り返りは、最初は全くかけないことが多いです。単純に「できた」「できなかった」と具体性のないふりかえりも、アクティブラーニングを繰り返すうちに、振り返る力が育っていきます。
?何も書くことができない子どもがいたら?
他の子ども達の記入例を見せます。
できていたことを具体的に教えます。
?結果と成績はリンクする?
成績と関係なく実施するようにします。
結果より過程を重視します。
場合によっては、リンクすることもありますが、やはり、「できた!できない!」より、「どれだけがんばって取り組んだか」だと思います。
できなくたって、よく考えて、アウトプット(次に生かして行動するなど)していれば、ものすごい成長だと思いますよ。
参考までに・・・
ビジネス界の「経験学習モデル」も参考に
ビジネス界の理論に、振り返ることの重要性を説くものがあります。
組織行動学者デイビッド・コルプの提唱した「経験学習モデル」
コルプは、人はただ体験しただけで学べるのではなく、体験を内省し、気づきを得て、次の機会に試すことで、学習・成長するのだと説明しています。そうした経験をくりかえしていくサイクルを、経験学習モデルとした。このサイクルを理解すると、アクティブラーニングの進め方もイメージしやすくなります。
具体的な経験
↓ 体験すること。質問、相談する。
内省的な経験
↓ 振り返ること。確認テスト、リフレクションカード
抽象的な経験
↓ 気付くこと。 テストやカードからわかってくること
能動的な試み
↓ 計画と実践。 次回に向けて計画を立て、試すこと。
具体的な経験
↓
やっぱり振り返りは大切。
というか、人生においてもPDCAサイクルは常に行うものであって、学んだことをしっかりアウトプットすることが理解を深める最大の行為だと思います。
「ああ、楽しかった」
「ああ、よくわかった」
で、終わってしまう人は、その場では満足して、確かに理解していることでしょう。
でも、本当の知識として自分のものにするには、まさにアウトプット!!
「自分の学んだことを書く」
「実際に学んだ知識を使ってみる」
「繰り返し使うことで忘れないようにする」
学んだことを友達や、親や、身近な人に話したり、説明したりするのもよいですね。